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鉄分不足で心の病に

鉄分は神経伝達物質を作る酵素を助ける補因子(Cofactor)
  
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認知行動療法(CBT)の考え方 A + B → C

鉄分不足で心の病に

   血液の中で酸素を運ぶヘモグロビンは、鉄を含む『ヘム』という赤い色素と、『グロビン』というタンパク質からできている複合タンパク質ですので、 鉄分は人体にとってとても大切です。 鉄分が不足するとヘモグロビンを作ることができず、貧血になり、脳も酸素不足となり脳の機能が低下してしまいます。
また、うつ病の治療が難しい理由 で述べた通り、うつ病の原因は、主にセロトニンやノル・アドレナリンなどのモノアミン系の神経伝達物質の不足により起こるという『モノアミン仮説』 が有力です。 そして、鉄分不足により、セロトニンやノル・アドレナリンなどの神経伝達物質が生成されず、その結果、 うつ病などの心の病に陥りやすくなるということが、最近の研究で明らかになってきました。
米国における調査では、人口の10~25%が鉄分不足であり、その殆どが女性です (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1])。 鉄は、心の健康だけではなく、体の健康にも重要ですので、特に女性の方は鉄分不足に注意が必要です。 また、鉄分は美肌を作る時にも不可欠な栄養素です。 美肌を気にされている方は、 内から美肌を作る美肌栄養素 をご参照下さい。

鉄分は神経伝達物質を作る酵素を助ける『補欠分子族』

   それでは、鉄分不足により、なぜ心の病に陥りやすくなるのでしょうか? それは、鉄分が、セロトニンなどの神経伝達物質を作る酵素(Enzyme)を助ける補因子(Cofactor)として機能しているからなのです。 ここで、酵素とは、消化・吸収・代謝など、あらゆる生命活動で起こる化学反応の触媒として機能するタンパク質であり、 補因子は、酵素と結合することにより、その機能を助ける働きをします。
また、補因子には、補酵素(Coenzyme)と補欠分子族(Prosthetic Group)があります。 補酵素は、タンパク質以外の有機分子ですが、補欠分子族はビタミンなどの有機物の場合もあれば、金属イオンのような無機物の場合もあります。 鉄分は、体の中で鉄イオンとなって、補欠分子族として機能することになります。
また、ほとんどの酵素は単独の状態(これをアポ酵素(Apoenzyme)と呼びます)では活性がなく、 補因子と結合したホロ酵素(Holoenzyme)となって、初めて活性化され、酵素としての機能を発揮できます。 補因子が鉄イオン(補欠分子族)の場合には、次式のような反応で表されます。
     アポ酵素 + Fe2+(補欠分子族) ⇔ ホロ酵素
ここで、"Apo"とは、『(補因子から)離れた』という意味であり、"Holo"とは、『(補因子と結合して)完全な』という意味です。
以上から、鉄分不足になると、セロトニンなどの神経伝達物質を作る時に触媒として機能するホロ酵素が不足するため、 神経伝達物質が不足し、心の病に陥りやすくなるのです。

心の病かなと思ったら、まず血液検査で鉄分不足かどうか調べる

   これまで、抗うつ薬に頼ってきた心の病の治療法が、『分子整合栄養医学』の影響で、劇的に変化しつつあります。 うつ病の症状のある方や パニック障害の症状のある方、 あるいは不安や恐怖による肉体的変化が強い方は、 心療内科やメンタルクリニックを受診する前に、まず、鉄分不足を疑ってみましょう。
鉄分不足を指摘してくれる心療内科やメンタルクリニックは殆どありません。 鉄分不足を調べるには、血中の『血清フェリチン濃度(略号:Feri)』を調べるのが良いでしょう。 血清フェリチンは水溶性の鉄貯蔵たんぱく質で、鉄濃度により変化するため、鉄代謝異常の指標とされます。 血清鉄濃度(略号:Fe)が正常であっても血清フェリチン濃度が低い場合は潜在的鉄欠乏状態と言えます。 前記の症状が気になる方は、まずは近くのクリニックで『血清フェリチン濃度を調べたい』と告げ、血液検査をしてみて下さい。 単なる血液検査では血清フェリチン濃度は調べられませんので、必ず『血清フェリチン濃度を調べたい』と告げる必要があります。
血清フェリチン濃度は、男性と女性では性差がありますが、成長期にはやや低く、加齢によって増加する傾向があります。 また、閉経後では女性でも男性の値に近くなります。 血清フェリチン濃度は、測定法により多少変動しますが、潜在性鉄欠乏症貧血の観点から、概ね以下の範囲が正常値とされています。 しかし、心の病の予防・治療の観点から考えると、男女共に 50 ng/mL 程度以上が望ましいようです。

鉄分不足になりやすい人

   以下のような方は鉄分不足になりやすいので、特に注意しましょう。

鉄分不足を解消する食事

   食事で摂取する鉄分には、2価のヘム鉄(Fe2+)と3価の非ヘム鉄(Fe3+)があり、それぞれ以下の特徴があります。 それぞれの特徴をしっかり認識し、鉄分不足に陥らないよう注意して下さい。

ヘム鉄(Fe2+

   有機鉄であり、溶けやすくイオン化しやすいという特徴があります。 このため、小腸の粘膜から吸収されやすく、吸収率が25~30%と高いのが特徴です。 また、非ヘム鉄と異なり、吸収を妨げる他の成分の影響を受けにくいという特徴もあります。 筋肉色素タンパク質のミオグロビンという物質はヘム鉄であり、筋肉組織の中で酸素を蓄える働きをしています。 このため、赤身の肉や魚にはミオグロビンが豊富です。 ヘム鉄を多く含む食材としては、レバーや赤身の肉、魚(特に赤身)、卵黄などがあります。

非ヘム鉄(Fe3+

   無機鉄であり、野菜や海藻などの植物性食品に多く含まれますが、吸収率が1~7%と吸収されにくいのが特徴です。 吸収率を高めるためには、動物性タンパク質に含まれる消化酵素やビタミンCを同時に摂取し、 消化過程で非ヘム鉄をヘム鉄に還元する必要があります。 また、お茶やコーヒーなどに含まれるタンニン、ほうれん草に含まれるシュウ酸には、非ヘム鉄の吸収率を下げる働きがありますので注意しましょう。 非ヘム鉄を多く含む食材としては、あさりやシジミなどの貝類、大豆、ソラマメ、小豆、パセリ、枝豆、抹茶、ひじき、わかめ、穀物などがあります。
   以上から、鉄分を効率的に摂取するためには、ヘム鉄を多く含むレバーや肉、そして赤身の魚を摂取するのが良いでしょう。 また、日本古来の非ヘム鉄を多く含む貝類、豆類、穀物を摂取する際には、 鉄分の吸収率を高めるため、動物性タンパク質やビタミンCを同時に摂取するよう心がけましょう。 そして、お茶やコーヒーは、非ヘム鉄の吸収を阻害しますので、できるだけ同時に摂取しないよう注意ましょう。 どうしても飲みたい場合は、食後しばらく時間をおいてから飲むように心がけましょう。
最終更新日:2011年6月10日


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