脳の機能と心と体の健康分子整合栄養医学

ナイアシンによる治療例

ナイアシン(ビタミンB3)によるメガビタミンセラピー(Megavitamin Therapy)
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ナイアシンによる治療例

   サプリメントは必要か? に示した通り、各ビタミンやミネラルには、様々な理由から耐容上限量が決められていますが、 分子整合栄養医学では、上限量を大幅に超過した ビタミン大量療法、即ちメガビタミンセラピー(Megavitamin Therapy)を実施しますので、 専門期間での治療が必要になります。
その中で、ナイアシン(ビタミンB3)は、 ナイアシン(ビタミンB3)の効果 で述べたとおり、人間の消化器系、皮膚、そして神経の健康には不可欠な栄養素ですので、 古くからビタミン大量療法の中心的な栄養素でした。 ここでは、このナイアシンを使用した過去の治療例をご紹介しましょう。

ペラグラ(Pellagra)

   1942年以前に、米国、スペイン、イタリアなど、主食をとうもろこしに依存していた地域で流行しました。 原因は、単に精白によるナイアシンの減少だけではなく、ナイアシンが科学的に強力に結合していたため、吸収しにくいことも影響しました。 面白いことに、中南米で主食としての食べられていたルティーヤ(とうもろこし粉のパンケーキ)では、ペラグラが発生しないことが解決の糸口になりました。 彼らは、とうもろこし全粒を使用し、また、カルシウムリッチのアルカリにより、ナイアシンの吸収率を高めていました。
   ペラグラの初期症状は、 統合失調症 と全く同じで、ナイアシンを投与する以外に区別する方法はありません。 ナイアシンを投与して改善すればペラグラであり、改善しなければ統合失調症と診断されます。
ペラグラの中間ステージでは、多数の精神障害だけではなく、肉体的な多くの症状も表れます。 子供の場合だと、ADHD(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥多動性障害)や学習障害の症状が表れます。 毒性錯乱(Toxic Confusional)など、精神学的に重度の症状へと移行し、老人性精神病(Senile Psychoses)の原因にもなります。
また、ペラグラの原因は、ナイアシンだけではありません。 ナイアシンの原料であるトリプトファン(Tryptophan:必須アミノ酸の一種)欠乏症の患者は、皮膚炎を伴います。 このような患者には、トリプトファンを投与すると、ナイアシンだけで治療するよりも早期に治療できます。

関節炎(Arthritis)

   関節炎の治療にナイアシンアミド(Niacinamide)を適用し、その効果の高さを証明したのが、Dr. William Kaufman です。 彼は、骨関節炎(Osteoarthritis)とリウマチ性関節炎(RA: Rheumatoid Arthritis)の両方にナイアシンアミドを使用し、 多くの論文と書籍を執筆しています。
   Dr. Kaufman によれば、500 mg のナイアシンアミドを一度に投与するよりも、250 mg ずつ分割投与をるほうが、40~50% 効果的であるとしています。 肘を曲げられない患者に対し、1週間ナイアシンアミドを分割投与すると肘が曲げられるようになりました。 そして、その後、ナイアシンアミドの偽薬を1週間投与すると、肘は元の通り硬くなることを確認しました。 また、彼は、関節が硬い患者ほど、ナイアシンアミドの量を増やしますが、この場合も分割投与が基本です。 例えば、かなり重度の関節炎での患者には、毎日4,000 mg のナイアシンアミドを投与しますが、一度に投与するのではなく、10回に分けて投与します。 そうすると、老若に関係なく、3ヶ月程度でベッドから起き上がれ、数年の治療で完全に歩行できるまでに回復しました。 (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1]))。
   Dr. Kaufman の最近のコメントによれば、 ナイアシンアミドは、間接の可動性を改善するだけではなく、筋肉を強くし、疲労感を低減します。 また、ナイアシンアミドは、筋肉の最大運動能力を高め、関節の痛みを低減するか、あるいは完全に除去します。 そして、ナイアシンアミドは、傷ついたDNAを修復し、中枢神経系(CNS: the central nervous system)を改善します。
これは、ナイアシンアミドが、抗うつ薬・抗精神病薬として機能することを示唆しています。 ナイアシンアミドは、中枢神経系(the central nervous system)まで到達し、 中枢神経系のベンゾジアゼピン受容体(benzodiazepine receptors)と強力な親和性を示します。 ベンゾジアゼピン受容体には、3つのサブタイプ(中枢性のω1,ω2および末梢性のω3)があり、 ω1が鎮静、ω2が認知、記憶、運動機能に関係するすると考えられています。 そして、ナイアシンアミドには、明確な鎮静効果があります (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[8]))。

総合失調症(Schizophrenia)

   総合失調症の治療において、ナイアシンやミネラルによる治療を精力的に行ない、顕著な実績を上げたのが、 Dr. Abram Hoffer および Dr. Carl C. Pfeiffer でしょう。
Dr. A. Hoffer らは、ナイアシン、ナイアシンアミド、および偽薬を電気ショック療法と併用する形で、総合失調症の治療を試みました。 この結果、ナイアシンあるいはナイアシンアミドを使用した患者は、偽薬を使用した患者に比較して、 1年以内に回復する患者の割合が2倍に達しました。
彼によれば、北米における近年の分子整合精神医学では、ビタミンB3が単独で投与されることはまれで、 他のビタミンやミネラルおよび神経遮断薬 (Neuroleptic Drug)を併用した栄養剤大量療法(Meganutrient Therapy)が一般的のようです。 10万人の統合失調症患者による北米の包括的なテストにより、この治療法がすばらしい成果を上げているとのことです (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1])。
   Dr. C. C. Pfeiffer は、5,000人以上の統合失調症患者を、 5種類のバイオタイプに分類しました。 そして、それぞれのバイオタイプに応じた治療法を試行し、高い回復率を達成しました。 この中で、ヒスタペニア(Histapenia:血中ヒスタミン濃度が低く銅が過剰)の患者には、 ナイアシンおよびビタミンC の投与が効果的であることを示しました (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[2])。
最終更新日:2011年6月26日

  

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