誤った思考とは
殆どの方は、自分の考え方の良し悪しなど、あまり考えたことなどないでしょう。
しかし、『
ABCフォームとは』で述べたように、
CBTでは
B(Berief: 個人的な信条、思考、あるいは出来事に対する解釈や意味付け)という思考方法を重視します。
この思考方法考は、遺伝子や育った環境により、大きく異なり、同じ出来事に遭遇した場合でも、結果(あなたの感情や行動)が大きく異なります。
そして、この様々な思考方法の中で、あなたが『役に立たない思考方法』あるいは『悪い思考方法』を取ってしまうと、
不安、恐れ、悲しみ、怒り、失望、焦燥感など、過度に悪い感情に陥ります。
もちろん、あなた自身は『役に立たない思考方法』を取っているという認識はないでしょう。
この『役に立たない思考方法』こそがあなたを精神疾患に陥れる根源なのです。
誤った思考と訂正方法の目次
ここでは、誤った思考、即ち『役に立たない思考』について、いくつかの典型例と、その訂正方法についてご紹介しましょう。
破局思考(カタストロファイジング:Catastrophising)とは、何でもない出来事を、否定的な出来事や大失敗と考える思考方法です。多角的に良い方向に考える努力をしてください。
オールorナッシング思考(All-or-Nothing Thinking)とは、『白か黒か』、『好きか嫌いか』、あるいは『生か死か』というような極端な感情や行動を引き起こす極端な思考のことです。現実的に考え代替案を考える能力を磨く努力をしてください。
人と会話する時、相手の言葉だけではなく表情や声に注意して、相手の言葉の本当の意味を読もうとする『読心術(Mind-Readiing)思考』を持つのは当然でしょう。 しかし感情により錯覚は頻繁に起こります。情報を集め、事実に基づいて判断する努力をしてください。
不安や恐怖という感情、はあなたの扁桃体が作り出し、大脳基底核と島皮質で行動を起こす感情が作られます。感情は現実を計る指標ではないことを強く認識し、現実的に考える努力をしてください。
過度な一般化(Overgeneralising)思考とは、一度あるいは数度の出来事から、 『いつもこうだ』、『皆そう思っている』、あるいは『決して成功しない』など、 一般的な結論を導き出す思考を意味します。多角的・総合的に考える努力をして下さい。
ラベル付け(Labelling)思考とは、全ての人・物あるいは出来事にラベルをつける思考を意味します。ラベル付け思考は、自分自身の成長を阻害してしまいます。多様性と変化を認識し、複雑性を尊重するよう努力をして下さい。
強要思考とは、『~ねばならない』、『~べきである』、あるいは『~べきではない』という融通のきかない信念や信条に基づく思考を意味します。あなたの思考に柔軟性を持たせる努力をするのが良いでしょう。
フィルタリング(Mental Filtering)思考とは、あなたの信念に合致する情報だけを受け入れるという、偏った先入観を伴う情報処理を意味します。
マイナス思考(Disqualifying the Positive)とは、何でもないことや良いことなどを、全て悪いことに結びつけてしまうという一種のフィルタリング思考です。
低い欲求不満耐性(Low Frustration Tolerance)思考とは、自分が我慢することができない物事を、直ちに『我慢できない』と片付けてしまう思考です。欲求不満の耐性が低いため課題への集中力が持続せず、学習障害や注意欠陥・多動性障害と診断されるケースも多いようです。
個人化(Personalising)思考とは、良くない出来事が起こったときに、何でも自分のせいにしてしまうことです。良くない出来事の本当の発生原因を見逃してしまうばかりか、必要以上に罪悪感を感じてしまいますので、対応策も十分に取れなくなってしまいます。
最終更新日:2011年3月10日