問題を正しく認識する
精神疾患に陥っている方は、不安や恐怖に直面した時、これから自分に起こるかもしれないめまいや失神などの体の感覚の変化を抑制するため、安全行動を取ります。
また、現在抱えている問題を緩和するため、様々な行動を取ります。
しかし、このような行動自体が、あなたが抱える問題を無意識のうちに悪化させてしまっていることに気づくことが治療の第一歩です。
以下、このような間違った安全行動や緩和行動の例を示しましょう。
- 不安や恐怖を避ける ・・・
あなたが避けた不安や恐怖を感じる状況は増幅されるばかりか、あなたが不安や恐怖に立ち向かい克服するチャンスを逃してしまっていることになります。
また、不快な出来事や恐ろしい出来事に立ち向かおうとするあなたの勇気や自信を粉々に砕いてしまいます。
- アルコールや薬物で不安や恐怖を紛らわせる ・・・
あなたが抱いている不安や恐怖が長期的に消えるわけではありません。そればかりか、アルコールや薬物の依存症という別の問題を発生させます。
- 自分自身の恥ずかしいと思うことを隠す ・・・
あなたの外見の欠点、精神疾患を持っていること、過去の失敗などを隠すという行為は、『誰かが見つけるかもしれない』という不安がいつも付きまといます。
また、友人の類似経験を聞くチャンスを逃してしまいます。
- 周囲との接触を避ける、あるいは引きこもる ・・・
不安や恐怖を避けるのと同様、あなたが不安や恐怖に立ち向かい克服するチャンスを逃してしまっていることになります。
また、友人や周囲の方からの新たな情報を遮断することになりますので、同じことばかり考え、
負のスパイラルに入り込んでしまいます。
さらに、非活動的になりますので、孤立感、無気力感はますます増大してしまいます。
最終的には、学業や仕事にも影響を及ぼし、家族・友人・同僚などへの罪悪感を感じるようになりますので重大です。
- 疲労感がするので昼寝するあるいは朝寝坊する ・・・
疲労感がするからといって、昼間に長時間ベッドで睡眠を取ると、
体内時計が狂ってしまい、夜に熟睡できなくなります。このため疲労感はさらに強くなります。
午前中に集中して仕事をした場合、30分程度以内の昼寝を取ることにより午後の集中力アップに役立ちますので、多くともこの程度の昼寝に留めましょう。
また、朝はダラダラベッドで過ごさず、しっかり太陽の光を浴びて、体内時計をリセットしましょう。
- 重大な肉体的病気を抱えると思い込みWEBなどで徹底的に調べる ・・・
調べても見つからないので、余計に不安になり、思考は空回りし、不快感も増す。
夜中にも調べるようになるので、体内時計が狂い、睡眠不足になり、疲労感も抜けなくなる。
今まで取っていた安全行動とは全く逆の行動を取ることこそ、あなたが抱える問題を正しく解決する方法なのです。
例えば、恐怖を感じたらそれを避けようとせず、あえて恐怖に身をさらすようにするのです。
短期的には不快な思いをするかもしれませんが、長期的にはあなたの症状を改善してくれます。
英国の著名なCBTのトレーナーである Dr. Windy Dryden は、彼の著書の中で、心の病と闘う人に関して、
"Feel better, get worse; feel worse, get better"(『より良い感じは病の悪化; より悪い感じは病の回復』)
というフレーズを使用しています
(
心理学・認知行動療法(CBT)関連[6])。
あなたが抱える精神疾患を長期に渡ってよい方向に変化させる最も有効な手法は、
あなたが無意識に取っている『誤った思考』に勇気を持って対抗し、
その『代替思考』にしたがって行動することであることを忘れないで下さい
(
誤った思考と訂正方法参照)。
最終更新日:2011年4月9日