認知行動療法(CBT)の現状
うつ病や不安障害などの『心の病』は脳のちょっとした機能障害によるものです。
そして、日本におけるこれらの機能障害の治療方法は、依然、抗うつ薬に頼っているのが現状です。
しかしながら、
うつ病の治療が難しい理由
で述べた通り、治療効果が高いと期待されている最新の抗うつ薬は、重大で恐ろしい欠陥も併せ持ちます。
また、
うつ病の再発率が高い理由
で述べた通り、抗うつ薬によるうつ病治療は真の意味での治療からの乖離が大きいため、うつ病の再発率は非常に高いのが現状です。
一方、イギリスでは、国家プロジェクトにより、認知行動療法(Congnitive Behaviour Therapy: CBT)の活用を積極的に進めた結果、
中程度より軽いうつ病患者や不安障害を持つ患者に対して、その効果を発揮しています。
また、認知行動療法(CBT)を施すセラピストの不足に応えるべく、コンピュータによる(Computerised)認知行動療法(CCBT)も普及し、
英国人のうつ病患者なら、必ず治療の一環として CCBT が使用されるという程まで、英国では認知行動療法(CBT)が心の病の治療方法として一般的になっています。
英国において、生涯を通じてうつ病かかる割合は50%、即ち2人に1人がうつ病にかかると言われています。
日本では、この割合は10%~20%程度と、かなり低く見積もられているようです。
英国では、『私ちょっとおかしい』と思うと、ホームドクターを尋ねます。
そして、ホームドクターが心の病と判断すると、無料で CCBT を受けることができ、この CCBT だけで完治してしまう割合も高いようです。
心の病は、早期発見・早期治療が大切です。英国では、
心の病の治療に関するハードルが低いため、見かけ上うつ病にかかる割合が高くなっていますが、
初期の段階で治療される確率が高いので、重病化する危険性が低くなっています。
私は、身内のパニック障害の治療を経験し(
うつ病の事例紹介参照)、
日本の精神障害の治療方法に大きな疑問を持ちました。
そして、認知行動療法(CBT)こそ、真の精神障害の治療方法だと確信するに至りました。
しかし、日本の臨床心理士では、数・能力・志の全ての面から
認知行動療法(CBT)のセラピストになるには相当な時間がかかると感じています(
うつ病の事例紹介参照)。
また、CBTは日本のごく一部の病院で試行錯誤で開始したばかりであり、CBTを解説した日本語の良い書籍は殆どありません。
まして、CBTが受けられるようなサイトは皆無です。
このような日本の現状を踏まえ、増え続けるうつ病や不安障害を抱える方の一助になるよう、英国の認知行動療法(CBT)を中心にご紹介すると共に、
本サイトをご訪問して頂いた方が、自らCBTを受けられるような認知行動療法(CBT)入門サイトとしてご活用頂くため、本サイトを立ち上げました。
ただ、日本にも
日本認知療法学会や
日本行動療法学会
などの専門学会があり、認知行動療法(CBT)関連分野の独自文化を築いておられますが、私はこの日本の専門分野で学んだ訳ではありませんので、
専門用語の使用方法が必ずしも各学会の標準に沿わない場合があります。
できるだけ専門用語には英語表現を付記しますので、その趣旨をご理解ください。
ただ、ある程度進行した心の病の方が、ご自分で本サイトを学習し、認知行動療法(CBT)テクニックを自分に適用するには、ご本人の負担が大きすぎるように感じます。
このような場合には、家族や友人など、最も信頼できる方に本サイトで CBT テクニックを勉強して頂き、あなたの助けとなって頂くのが良いでしょう。
また、皆様のご意見が頂けると、参考になりますので、どうぞ遠慮なくメールをお送りください。
なお、本サイトは、スポンサー広告のみで運営されていますので、全て無料です。
一人でも多くの方の一助になれば幸いです。
認知行動療法(CBT)入門の目次
1. 認知行動療法(CBT)とは - 認知行動療法(CBT)の核心となるコンセプトは『あなたが考えるように感じる』
認知行動療法(Congnitive Behaviour Therapy: CBT)は、『もしあなたが健康的な考え方をすれば幸せで生産的な生活を送れる』という、実に簡単な原理に基づいています。
2. ABCフォームとは - 認知行動療法(CBT)が重視するABCフォームをご紹介
認知行動療法(CBT)では、あるイベント(出来事:A)に対し、感情や行動(C)を決定する際に、 付加される個人的な信条や出来事の意味付け(A)の役割を重視し、これを反映したABCフォームに従ってあなたの思考を改善することを試みます。
3. 誤った思考と訂正方法 - 破局的思考・オールorナッシング的思考など危険な思考の誤りとその訂正方法
破局的思考、オールorナッシング的思考、読心術思考あるいは感情優先思考など精神疾患患者が陥る危険な思考の誤りとその訂正方法についてご紹介します。
4. 感情の自己管理方法 - 認知行動療法(CBT)ではあなたが自分自身のセラピストになり感情を自己管理します
認知行動療法(CBT)では、あなたが自身自分のセラピストになるための何種類かのテクニックを習得することができます。 その中の1つが『ABCフォーム』です。
5. 行動実験のすすめ - 科学者のように仮設を立て行動実験(Behavioural Experiments)を行う
行動実験(Behavioural Experiments)は、認知行動療法(CBT)の重要な方法の一つです。科学者のように仮設を立て、あなたの仮説がどの程度確からしいか、事実を収集することにより検証し、最も確からしいあなた独自の新しい理論を作り上げる。
6. 思考の管理方法 - 集中 - タスク集中トレーニング・物事をあるがままに感じる瞑想で思考をコントロール
あなたの思考を管理するため手法として、タスク集中トレーニング(Task Concentration Training)およびあるがまま瞑想(Mindfulness Meditation)についてご紹介します。トレーニングや瞑想を日々の習慣とすればあなたの不安や怒りといった感情は穏やかになり、より人生の楽しさを実感できるようになるでしょう。
7. 問題解決法を見極める - CBTの問題解決法・・・あなたの問題解決法が問題である
CBTでは『あなたの問題解決法が問題である』とよく表現されます。ここでは、あなたが抱えている問題を正しく評価し『あなたが抱える問題を解決するため、あなた自身が取っている行動自体が問題』であるという点について考えてみましょう。
不安や恐怖は、あなたの中に潜むいじめっ子と同じです。 あなたが何も対策をとらなければば、いつまでもいじめられ続けますが、あなたが勇気を持って立ち向かえば、もういじめられることはなくなります。 ここでは、不安や恐怖を感じた時、どのような態度で立ち向かえば良いのか、またどのように克服すればよいかについて、考えてみましょう。
睡眠障害を克服することは、心の病を治療する第一歩と考えて良いでしょう。ここでは、睡眠の役割や、快適な睡眠をとるにはどうすればよいかを、脳科学と認知行動療法の両面から考えてみましょう。