分子整合栄養医学とは

   分子整合栄養学(Orthomolecular Nutrition)は、体を構成する普通の("Ortho-")分子(Molecular)を使用することを主な治療法とする方法です。

分子整合栄養学はサプリメントを通常の推奨量以上に摂取することを強調

分子整合栄養学と通常の栄養学との違いは、ビタミン、ミネラルあるいは他の補助栄養素のサプリメントを、 通常の推奨量以上に摂取するということを強調する点です。 分子整合栄養学は、単に特殊な栄養素の欠乏性疾患として考えるのではなく、病気の治療に使用されます。 例えば、癌患者へ、毎日、数万 mg(数十グラム)のビタミンCを静脈注射したり、 精神病患者に毎日、抗うつ薬や精神安定剤と一緒に、数千 mg(数グラム)のナイアシンを、その他のビタミンやミネラルと一緒に投与して治療します。 また、外科医は、手術後に栄養剤を使用すると、回復が早いため栄養剤を使用しています。

適正な量のサプリメント摂取は環境やストレスに対する耐性を高める

   近年では、分子整合栄養学の解釈は拡張され、栄養剤を含めた食物、水、空気、光との生物学的な相互作用は、 それぞれ適正な量を摂取すれば、健康を保ち病気を防ぐために重要な部分を占めると認識されています。 例えば、特殊な環境は以下のような問題を引き起こすことがあります。 しかし、適正なダイエットや、栄養サプリメントは、このような汚染された環境やストレスに対する耐性を高めることにより、我々の体を守ってくれます。 それゆえ、分子整合栄養学は、栄養アンバランスを矯正し、病気の予防に役立ちます。

分子整合医学の知識がある医師はごくわずか

   最近、分子整合栄養学あるいは分子整合医学への注目度が高まっており、これらの治療法を取り入れようとする内科医も現れ始めました。 また、薬を処方できない心理学者や栄養士が、分子整合栄養学的なアドバイスにより、患者を助けてくれる病院も出てくるようになりました。 しかしながら、分子整合栄養医学の歴史で述べた通り、 ほとんどの内科医あるいは心療内科医は、分子整合栄養学の知識を持ち合わせていません。
例えば、分子整合精神医学は、精神疾患の治療方法として、分子整合医学の中では最も普及している分野です。 しかし、1987年当時には、米国でさえ、約3万件の開業内科医の中で、分子整合精神科医はわずか 1% に留まっており、 米国以外では 0.1% 未満程度しかいないと推計されています (分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[2])。
このような状況ですので、栄養不足に起因する胃腸疾患、関節炎、パニック障害あるいはうつ病などの病気は、薬、手術、 あるいは放射線で治療しようとするクリニックや病院が殆どです。 このため、患者には精神的かつ経済的な負担が過剰にかかってしまいます。 ただし、最近20年、研究が進み、分子整合精神医学もある程度は普及したと思われます。
一般の方が、分子整合栄養学の知識を持てば、安価なサプリメントによりご自分の環境への耐性を高めることができますので、 様々な病気の予防が可能になります。 私は、分子整合栄養学は、増加し続ける日本の医療費低減の切り札になるのではと期待しています。
   本格的に分子整合栄養学を病気の治療に応用するには、専門的な知識を持った医療機関の助けが必要ですが、 分子整合栄養学の知識は、体調不良や心の病を抱える方にとって、自分の不調の原因を知るための重要な手がかりとなり、 自分の環境への耐性を高め、病気の予防に役立てることができます。
しかし、学会で報告される論文は、入手しにくい上、専門用語が多く、冗長であるため、一般の方は読みにくいのが現状です (私も工学の分野で論文を書いてきましたが、専門的に評価を得ようとすると、どうしてもそのような表現になってしまいます)。 本サイトでは、訪問して頂いた方々が、分子整合栄養学で得られた様々な知識を、ご自分やご家族の病気の早期回復や予防に役立てて頂けるよう、 情報やトピックスを、わかりやすく公開して行きたいと考えています。


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