脳と聴覚

   音の波は、内耳にある蝸牛かぎゅう(Cochleaと呼ばれる文字通りカタツムリの形状をした器官で電気信号に変換されます。 即ち、渦巻き状の蝸牛管に沿って有毛細胞が規則正しく並んでおり、この有毛細胞が周波数の違いによる振動を感知し、電気信号に変換します。 そして、電位信号は 脳幹 に集められ、側頭葉を経由して前頭葉に送られ音情報が処理されます。
   我々は、多くの人がガヤガヤ話している中で、特定の人の言葉に集中して聞き分けることができる能力を持っています。 この能力は『カクテルパーティー効果』と言われますが、コンピュータには真似できない高度な業なのです。 音声認識ソフトウェアは、静かな環境で1人の人が発した音声の周波数とその強弱により処理を行いますが、複数の人が声を発すると処理することができません。 しかし人間は、側頭葉や前頭葉において音情報を処理する段階で、必要な情報のみ解釈するよう聞き分けることが出来るのです。
   幼い頃日本で育った日本人の殆どの方が、英語のリスニングで苦労しますが、これも前頭葉の高次の脳機能が関係しています。 赤ちゃんは様々な音を聞き分ける能力がありますが、生後18ヶ月程度で、耳から入ってこない音を区別する能力が失われ始めると言われています。 日本語にある音の数は70個程度ですが、英語にある音の数は500個以上と言われています。 したがって、日本語に必要な70個程度の音以外は、幼少期に区別する能力を失ってしまうのです。 このため、日本人が成人してから英語のリスニング能力を高めるには、かつて持っていたけれども失ってしまった機能を回復する必要がありますので、苦労する訳なのです。


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