体内時計のメカニズム
哺乳動物はほぼ24時間周期の体内時計、即ち概日リズム(Circadian Rhythm)を持っています。
そして、このリズムを崩すと、不眠症などの障害を起こします。
飛行機で海外に出かけると時差ぼけを起こすもの、赤ちゃんが夜泣きするのも、この体内時計によるものです。
ここでは、この体内時計のメカニズムについて詳しく見てみましょう。
体内時計は強い光でリセットされる
概日リズムは、
視床下部の上にある
視交叉上核の細胞が持つ約24時間周期の活動の変化に関係があります。
また、この24時間周期の活動の変化は目から入る強い光によってリセット・修正されます。
即ち、目から入る太陽の強い光を浴びると、視交叉上核で感知され、
松果体に信号が送られます。
『時計ホルモン』と呼ばれるメラトニンの役割
視交叉上核から松果体に信号が送られると、少し遅れて『時計ホルモン』と呼ばれるメラトニンが作られます。
そして、夕方から血中のメラトニン濃度が上がり始め、光を受けてから約14時間後にはメラトニン濃度はピークに達し、眠気を感じますので、
この時間帯に布団に入ると熟睡できるのです。
また、翌朝、目覚める頃には血中のメラトニン濃度は下がり、気持ちよく目覚めることができます。
そして、また朝の太陽の光をしっかり浴びることにより、視交叉上核の細胞の活動が活発に活動を始めます。
即ち、強い太陽の光をしっかり浴びることにより、体内時計がリセットされる訳です。
体内時計の周期により決まる朝型タイプと夜型タイプ
視交叉上核の細胞の周期は約24時間と書きましたが、この周期は人により多少異なります。
24時間より短い方は、夜になると早く眠くなり、翌朝には早起きする朝型タイプになります。
また、逆に24時間より長い方は、眠くなるのが遅れますので、翌朝にはなかなか起きられない夜型タイプになります。
あなたはどちらのタイプでしょうか?
体内時計の乱れによる時差ぼけ
飛行機で海外に出かけると時差ぼけを起こすのは、体内時計が乱されるのが原因です。
時差ぼけを起こすと、疲労感が溜まったり不眠に陥ったりします。
時差ぼけを最小限に抑える方法は、移動前や移動中にできるだけ現地の朝に合わせて太陽の光(強いライトの光でも多少の効果はある)をしっかり浴びるのが良いでしょう。
頻繁に時差ぼけを起こすと側頭葉が傷つく
頻繁に時差ぼけを起こすような業務に従事している方は時差ぼけに対する警戒も必要になります。
頻繁に海外へ飛行する客室乗務員の調査から、頻繁に時差ぼけを起こすと、ストレスホルモンの分泌が過剰になり、側頭葉が傷つくことが知られています。
飛行機でタイムゾーンが異なる地域を頻繁に移動される方や、交代勤務の方は、
ストレスホルモンの分泌を抑制する
よう心がける必要がありますので、注意してください。
体内時計の乱れによる赤ちゃんの夜泣き
子育て経験のある方なら、赤ちゃんの夜泣きに悩まされた方も多いのではないでしょうか?
『おなかがすいているのか?』あるいは『おしめはぬれていないか?』と、色々試しては見るものの根本的には解決できなかったのではないでしょうか?
赤ちゃんを早朝に起こすのはかわいそう?
赤ちゃんの夜泣きの主原因は体内時計の乱れなのです。
赤ちゃんを早朝に起こすのはかわいそうだといつまでも寝かせていると、体内時計の周期が24時間より長い赤ちゃんの体内時計はリセットすることなく、
自分の体内時計の周期で目覚めることになります。
そうすると、だんだん両親との体内時計のズレが大きくなり、
両親が夜に寝ようとして照明を消しても、赤ちゃんの体内時計がズレてしまっているため、寝られず、不安を覚えるのでしょう。
逆に、赤ちゃんの体内時計の周期が24時間より短い場合は、赤ちゃんも早く寝付きますから、
毎朝、早朝に体内時計がリセットされ、まず夜泣きすることは無いでしょう。
赤ちゃんも毎朝起こして体内時計のリセットを
では、夜泣きをなくするにはどうしたら良いのでしょうか?答えは簡単です。
毎朝、確実に赤ちゃんの体内時計をリセットしてあげるだけで良いんです。
毎朝、規則正しく起こして、視交叉上核に光を浴びさせてあげれば良いのです。
勿論、昼間は赤ちゃんのリズムで寝かせてあげても大丈夫です。