うつ病の事例紹介 ・・・ うつ病は心の風邪ではない
うつ病の本やネットを検索すると、誰が言ったか「うつ病は心の風邪」と至る所に書かれていますが、これが大きな誤解を招いています。
風邪なら薬を飲んでしばらく寝ていれば直るでしょうし、おばあちゃんの知恵袋も役に立つでしょう。
しかし、うつ病はちょっと薬を飲んだぐらいでは悪化する場合もありますし、夜は寝られないし、イライラは溜まるし、
自殺の危険性さえ出てきますので、風邪どころの病気ではありません。
また、近年患者が急増した病気ですので、おばあちゃんの知恵袋にも情報は無いでしょう。
対応を誤ると、置かれた環境によっては、人生をも左右する病気と言っても過言ではありません。
お粗末な心療内科医の対処:その1
私は、2007年~2009年にかけて、初めてうつ病治療の難しさと、うつ病患者に対する心療内科医の不適切な対応を実感しました。
14年半一緒に過ごしたペットが亡くなった後、身内の体調が悪くなったので、近くにあるT大学病院のメンタルヘルス科を受診し、『パニック障害』と診断され、
『パキシル 10mg x 1』・『ドグマチール 50mg x 1』・『ソラナックス』を処方されました。
パキシルとは、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)の一つであり、比較的安全性の高い抗うつ薬というのがセールスポイントです。
ドグマチールは、胃の粘膜の血流を改善して吐き気やもたれの症状を良くする以外に、脳内の神経伝達物質ノル・アドレナリンの放出を促進しドーパミンを抑制するという作用があり、
うつ病や統合失調症に処方される薬です。
ソラナックスは、抗不安作用、鎮静・催眠作用、筋緊張緩和作用があり「パニック障害」に効果があるとされています。
初診であり、かつ『パニック障害』と診断されたにもかかわらず、うつ病やパニック障害など、かなり脳に作用しそうな3種類の薬を処方された訳です。
当時は、これが重大な結果を招くとは知らず、とにかく医師の言われるままに薬の服用を開始しました。
途中、『吐き気』、『ムカツキ』、『食欲不振』、『動悸』、『めまい』、『眠気』等の副作用が出たので、
耐え切れず処方された大学病院を尋ねましたが、身内の訴えも真剣に聞いてもらえず、
あろうことか『パキシル 20mg x 1』・『ドグマチール 100mg x 2』に増やされてしまいました。
大変な副作用を訴えているにもかかわらず、全く対応しないばかりか、薬の量を増やすなど、心療内科医としてはあるまじき行為だと思います。
結局、10日間服用しましたが、副作用に耐え切れなかったことと、心療内科医が信頼できなかったという点から、T大学病院に行くのをやめてしまい、症状は悪化するばかりです。
また、臨床心理士を紹介され、受診しました。
しかし、この臨床心理士が、とにかく『タバコ臭い』。
結局、その後は受診拒否。
臨床心理士ならまず自分の体臭も含め、身だしなみには最新の注意を払うべきでしょう。
『お粗末』の一言です。
お粗末な心療内科医の対処:その2
その後、薬の服用をやめると副作用は収まりましたが、うつ症状は続いていますので、約1ヵ月後に、別のF心療内科を尋ねました。
この医師は、ある総合病院から独立し、駅前に新しく開業した内科医です。総合病院では比較的評判は良いという話でした。
F心療内科では、『トレドミン錠 15mg x 2(朝夕)』・『リーゼ錠 5mg x 1』を処方されました。
トレドミンとは、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:Serotonin-NorAdrenalin Reuptake Inhibitors)の一種であり、
リーゼ錠は、抗不安作用、鎮静・催眠作用、筋緊張緩和作用があります。
大学病院に比較して待ち時間は減りましたが、やはりここでも薬の処方のみ。
2週間程度すると『吐き気』『頭痛』等の副作用が強く出ましたが、心療内科医は何も打つ手がありませんでした。
面白いのは、一度私が身内に付き添ってF心療内科を尋ねた時でした。
私は、ネットで調べたSSRIやSNRIの情報をベースに医者に質問しましたが、医者の知識が私の知識を上回ることはありませんでしたし、副作用に対する何の対策案も出しませんでした。
そして、身内が一人で受診する際には5分~10分程度で数千円支払うのに、私が30分間しつこく粘って問い詰めたときにはわずか500円しか請求されませんでした。
何も提案できなかったので良心の呵責に耐えられなかったためでしょうか?それとも何かを恐れていたのでしょうか?
結局、トレドミンも効果が無いまま、医師に不信感を持ち1ヶ月程度でやめてしまいました。
F心療内科を訪問して私が感じたことは、『あの程度なら私でもできる』です。
受付嬢と椅子と机を用意して、ネットで情報を収集すれば、後はそこそこの会話力があれば良いだけです。
注射もレントゲンも手術も必要なく、薬は薬局にあるので、心療内科では処方箋を出すだけです。
その後、
NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる
の『第2章 クリニック乱立の闇』に私の感じたことと同じようなことが書かれていました。
新しく開業した受付嬢と椅子と机と心療内科医だけのメンタルクリニックには十分注意して選別する必要があります。
漢方薬ならどうか?
トレドミンをやめてから4ヶ月が経過し、副作用の苦痛からは開放されましたが、うつ症状は依然続いています。
SSRIとSNRIの2度の失敗で、身内は『もう薬は飲みたくない』という思いになっていました。
ある日、何処で聞いてきたか、『今度は漢方薬を試してみる』と言い出し、漢方薬を中心に使用している3番目のクリニックを尋ねた所、
『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』・『桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)』を処方されました。
補中益気湯は、胃腸の働きを改善して、食欲不振、胃弱に効果があるとされています。
また、桂枝加竜骨牡蛎湯は、神経の高ぶりを鎮め、神経症や不眠、精神面がかかわる動悸や性的機能の低下に効果があるとされています。
漢方薬は比較的副作用が軽く、また3番目のクリニックでは、比較的患者の話をよく聞いてくれたようなので、医者不審に陥ることもなく約半年間続けることができました。
「漢方薬の効果があったのか?」と聞かれると、あったかも知れないし、無かったかも知れません。
漢方薬の効果なのか、それとも話を聞いてくれた効果なのか、それとも私がうつ病に対して興味を持つようになった効果なのか、
どれが主な要因かはわかりませんが、身内が『うつ病は薬に頼らず自力で直すしか無い』という結論を導き出せたので、何らかの進展があったということは言えるでしょう。
後から思うこと
最後の漢方薬をやめてから2年以上、発症してから3年経過しますが、身内のうつ病はほぼ全快したと言えるでしょう。
うつ病を完治する方法は、褒美を与え、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌を増やし、マイナス思考からプラス思考へ、
そして負のスパイラルから正のスパイラルへ、家族が協力して変えて行くことこそが最短かつ唯一の方法だと思います。
身内のケースでは、明らかにSSRIあるいはSNRIの副作用と、これらの抗うつ薬を盲信する心療内科医に翻弄され、症状を悪化させて行きました。
SSRIあるいはSNRIを服用せず、上記の『最短かつ唯一の方法』に気づいてさえいれば、完治までこれほど時間はかからなかったでしょう。
殆どの心療内科医は患者の利益より、病院や自分の利益を優先します。
心の病、即ち脳の病にはカウンセリング効果があるのは殆どの心療内科医は知っているはずですが、殆どの心療内科でカウンセリングを行っていません。
これは、カウンセラーが少ないというだけではなく、カウンセリングでは儲からないためです。
皆さんも、SSRIあるいはSNRIだけでうつ病を治そうとしている心療内科医には注意して下さい。