あなたの知人や恋人が、思いやりの無い発言をし、あなたが怒ったり、悲しんだりすると、
『彼(あるいは彼女)が私を怒らせた』、あるいは『彼(あるいは彼女)が私を悲しませた』と考えるのが普通でしょう。
ここで、『思いやりの無い発言』という出来事は、実際に発生した出来事もあれば、『もしかしたら失恋するかもしれない』という、
将来を出来事予想する否定的な思考も含め、『発生した出来事あるいは発生するかもしれない出来事(Actual or Activating Event = A) 』と定義します。
また、それによって引き起こされる結果を、『結果(Consequence = C)』と定義すると、次のような関係で表されます。 A(Actual or Activating Event) → C(Consequence)
即ち、図1に示すように、ある出来事が、あなたの感情を引き起こしたと普通に考えてしまうでしょう。
図1 普通の考え方 A(Actual or Activating Event) → C(Consequence)
認知行動療法(CBT)の考え方
認知行動療法(CBT)では、『発生した出来事あるいは発生するかもしれない出来事(Actual or Activating Event = A) 』に対し、
感情、肉体的センセーションあるいは行動という結果(Consequence = C)を決定する際に、
付加される個人的な信条、思考、あるいは出来事に対する解釈や意味付け(Beliefs or Meanings about the event = B)の役割を重視し、
以下のように考えます。 A(Actual or Activating Event)+ B(Beliefs or Meanings about the event) → C(Consequence)
即ち、図2に示すように、ある出来事が発生した場合、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚および嗅覚)を使ってあなたが認識し、
そして、あなたの信条、思考、あるいは出来事に対する解釈や意味付けを、大脳皮質を駆使して加えることにより、
あなたの感情、肉体的センセーションあるいは行動という結果が得られるという仕組みであるという、本来の人間の思考メカニズムを尊重します。
したがって、あなたの感情は、あなたの信条や出来事に対する解釈により、様々な結果になることをしっかり理解してください。