行動実験のすすめ
誤った思考と訂正方法、
感情の自己管理方法
について解説してきました。そして、誤った思考とそれに代わる代替思考、および代替思考の効果を見てきました。
CBTでは、精神疾患に関する学問的な真実の追究によりも、思考、仮説あるいは信念などのトレーニングに重点を置くのが基本です。
ここでは、客観的な実験を行うことにより、あなたの信念、誤った思考、あるいは代替思考がどの程度確からしいかを科学的に確かめる方法を学習します。
この実験は、『行動実験(Behavioural Experiments)』あるいは『経験実験(Experiencing Experiments)』と呼ばれ、認知行動療法(CBT)の重要な方法の一つです。
あなた自身が、科学者のように仮設を立て、あなたが抱く誤った思考がどの程度確からしいか、
また、代替思考がどの程度確からしいか、事実を収集することにより検証し、最も確からしいあなた独自の新しい理論を作り上げて下さい。
『行動実験』を正しく反復して実施することにより、あなたの思考や行動が、あなたが抱える問題にどのように影響を及ぼしているかがわかるでしょう。
また、あなたが抱える問題の根源を明確にすることもできるでしょう。
そして、新しい理論に基づいて思考し、行動すれば、あなたが抱える問題は格段に軽減されるようになるでしょう。
行動実験のすすめの目次
ここでは、『行動実験』の代表的な例を示しますので、この方法をあなた個人の問題に適用するよう心がけて下さい。
単に『行動実験』を理解するだけではその効果を十分に発揮することはできません。
自らの問題に適用し、現実的にあなたを支えてくれる理論、即ちあなたの新しい信念を作り上げることが重要なのです。
行動実験は、1.問題を明記する、2.仮説を立てる、3.代替仮説を立てる 、4.仮説の検証方法を考案する、5.仮説の検証実験を行う、6.実験結果を分析するという6ステップで行うのが良いでしょう。
症状をチェックしたり、安心できるような情報を探したりという不安障害に対抗する行為により、 不安を増幅するマイナスの効果を引き起こすことがあります。 症状を改善するためには、このような不安障害に対抗する行為をやめるという選択肢も不安を抑制する効果があります。 ここでは、乗物恐怖症という不安障害を抱える方の、行動実験記録例をご紹介します。
精神疾患を抱える方が最も不安に思うことの一つに、『自分だけ人と異なった特殊な病気を持っている』ということがあります。ここでは、mixiなどのSNS(Social Networking Service)を活用して調査するという乗物恐怖症の行動実験例をご紹介します。
行動実験が最大限の効果をもたらすよう、実験方法・難易度は適正か、検証したい仮説を明確にする、実験を楽しむ、科学者のように冷静に客観的に、安全行動は適切か、実験を通して発見した事実を整理・活用する、という点に注意して計画・実行するのが良いでしょう。