サプリメントは必要か?
『サプリメントは必要なの?』、『しっかり食事をしていればサプリメントは必要無いんじゃないの?』という方は意外に多いと思います。
私も分子整合栄養医学を勉強する前はそうでした。
しかし、分子整合栄養医学の情報に触れ、意外な事実がたくさんあることに驚かされました。
しかも、医師は分子整合栄養医学を勉強していませんので、医師から栄養に関する十分なアドバイスを得ることは期待できません。
今では、『心と体が健康で長生きするためにはサプリメントは不可欠』という考え方に変わりました。
ここでは、様々な事実と共に、その理由をご説明しましょう。
政府の栄養素の推奨量は分子整合栄養医学のそれより大幅に低い
しかしながら、これらの基準は、食品から比較的容易に摂取できるという点に主眼を置いているため、
分子整合栄養医学における最適健康必要量(Optimum Health Requirement)という視点から見るとかなり低く設定されています(表1参照)。
例えば、DRI のビタミンE の RDA(推奨摂取量)は、一日当たり15 mg ですが、
心血管疾患(Cardiovascular Disease)やその他の疾患を予防するためには、
少なくとも、一日当たり 67 mg(100 IU(International Unit))必要になります。
理想的には、恐らく一日当たり 268 mg(400 IU)か、あるいはそれ以上必要になるでしょう
(
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1] )。
また、毎日 100 IU 以上のビタミンE摂取を、2年間以上続けた人が、冠動脈性心疾患(Coronary Heart Disease)にかかるリスクは、
約40%低くなるという研究結果も報告されています
(
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[5] 、
(
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[6] )。
2年間未満の摂取では有意な差は出ていませんので、長期間継続することにより、
関連するバイオマーカー(Boimarkers)を良好な状態に推移させることが重要です。
ここで、バイオマーカーとは、尿や血清中に含まれる生物学的変化を定量的に把握するための指標(マーカー)を意味します。
例えば、腎機能の指標となる尿中のアルブミンや、肝機能の指標となる血清中のGPT、GOTが良く知られているバイオマーカーです。
分子整合栄養医学の栄養素最適健康必要量の摂取にはサプリメントが不可欠
上記の通り、ビタミンEには、心血管疾患や冠動脈性心疾患に対して明らかな効果が認められていますが、
ビタミンE を 67 mg(100 IU)摂取しようと思えば、比較的ビタミンEが多い食材でも、アーモンド 216g、 いくら 740 g、あるいはうなぎ 900 g
等となってしまい、他の栄養素の必要量も考慮すると、毎日の食事として摂取するには現実的ではありません。
まして、268 mg(400 IU)を食事から摂取するのは不可能でしょう。
また、ビタミンC も心臓病のみならず、その他の重大な疾患のリスクを減らす効果が認められていますが、
ビタミンC を 500 mg 摂取しようと思えば、赤ピーマン 290 g, 青ピーマン 660 g、ブロッコリー 930 g、レモン 500 g
あるいは、キウイフルーツ 720 g 等となり、こちらも結構大変な量になってしまいます。
このため、サプリメントが重要になってくる訳です。
例えば、
ビタミンE補給サプリメント
の中には、一粒でビタミンEを 400 IU 摂取できるサプリメントもありますし、
ビタミンC補給サプリメント
の中には、一粒でビタミンC を 500 mg 摂取できるサプリメントもあります。
忙しくて食生活が乱れている方は勿論、文部科学省が推奨する栄養所要量を満たした方に取っても、
このようなサプリメンにより、様々な病気のリスクを減らす栄養素を簡単に補給することができます。
分子整合栄養医学が推奨する最適ビタミン・ミネラルの摂取量
表1 健康な成人のビタミン・ミネラルの推奨量・上限量の日米の基準値 および分子整合栄養医学が推奨する最適健康必要量
栄養素 日本食品標準成分表2010(1) DRIs(2) 分子整合栄養医学 単位
推奨量 耐容上限量 RDAs 推奨摂取量(3) ULs 上限摂取量(4) 最適健康必要量(5)
男性 女性 男性 女性 男性 女性 男女 男女
ビタミンA 850 650 2,700
900 700 3,000 1,500
μgRE/日(6)
ビタミンB1 1.4 1.1 -
1.2 1.1 - 25
mg/日
ビタミンB2 1.6 1.2 -
1.3 1.1 - 25
mg/日
ビタミンB3 (ナイアシン) 15 11
300(8) (80) 250(8) (65)
16 14 35 300
mgNE/日(7)
ビタミンB6 1.4 1.1
55(9) 45(9)
1.3 100 25
mg/日
葉酸 240 1,300(10)
400 1,000 2,000
μg/日
ビタミンB12 2.4 -
2.4 - 500
μg/日
ビタミンC 100 -
90 75 2,000 2,000
mg/日
ビタミンD 5.5 50
15 100 37.5
μg/日
ビタミンE 7.0 6.5 800 650
15 1,000 134
mg/日
亜鉛 12 9 40 35
11 40 25
mg/日
マグネシウム 340 270 -
350 - 500
mg/日
セレン 30 25 280 220
70 - 200
μg/日
クロム 40 30 -
35 - 200
μg/日
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[3] ,18~29歳の値を掲載。
Dietary Reference Intakes,分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[4] ,19~30歳の値を掲載。
DRIs:RDAs(Recommended Dietary Allowances:推奨摂取量) by Food and Nutrition Board, Institute of Medicine (USA).
DRIs:ULs(Upper Intake Levels:上限摂取量) by Food and Nutrition Board, Institute of Medicine (USA).
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1] 。
μgNEはレチノール当量(Retinol Activity Equivalent) 。
mgNEはナイアシン当量(Niacin Equivalent):1 mgNE = ナイアシン 1 mg + トリプトファン 60 mg。
ニコチンアミド(ナイアシンアミド)の耐容上限量。( )内はニコチン酸(ナイアシン)の耐容上限量。
ピリドキシンの量として算定。。
プテロイルモノグルタミン酸の量として算定。
サプリメントの摂取が多ければ多いほど健康になる!?
日本および米国の政府機関が推奨するビタミン・ミネラルの量は、
分子整合栄養医学における最適健康必要量(Optimum Health Requirement)という視点から見ると、かなり低く設定されていることを述べましたが、
ここでは、これを裏付けるサプリメント大国である米国の研究論文をご紹介しましょう。
複数のサプリメント使用者の50%以上が摂取していたサプリメントは、
マルチビタミン/ミネラル、ビタミンB複合体、ビタミンC、カロチノイド、ビタミンE、ビタミンD入りカルシウム、
ω3脂肪酸(omega-3 fatty acids)、フラボノイド(flavonoids)、レシチン(lecithin)、アルファルファ(alfalfa)、
レスベラトロール入りコエンザイムQ10(coenzyme Q10 with resveratrol)、グルコサミン、免疫ハーブ(herbal immune)
のサプリメントです。
また、男性が、亜鉛、ニンニク、ノコギリヤシ(saw palmetto)、大豆タンパク質(soy protein)サプリメントも服用していたのに対し、
女性の多くが、ガンマリノレン酸 (gamma linolenic acid)、プロバイオティク(probiotic)サプリメントも服用していました。
調査の結果、サプリメントの服用が増えるほど血清中の栄養素の濃度も上がっていました。
そして、多くのサプリメント服用が、高血圧と糖尿病のリスクを低減するのは勿論のこと、
血清ホモシステイン(serum homocysteine)、C反応性タンパク質( C-reactive protein)、
HDL(善玉コレステロール:high-density lipoprotein cholesterol)および中性脂肪(triglycerides)
の好ましい濃度と関係していることがわかりました。
即ち、多量のサプリメントを服用することにより、様々なバイオマーカー(Boimarkers)が良好な状態に維持され、
その結果、バイオマーカーに起因する様々な慢性の病気が低減されることが明らかにされました。
サプリメント服用に関するその他の知識
ビタミン・ミネラルのサプリメントは、医薬品とは異なり、比較的安心して服用できますが、
その最適な量は遺伝的な要因と環境的な要因により異なります。
表1に示したビタミン・ミネラルの量は、あくまで平均的な健康な成人に対するものですので、
各個人に対する最適な量は、各個人が見出す必要があります。
また、ストレス強くなると、必要なビタミン量も多くなりますので、
ストレス多い時期には多めに服用することも大事です。
さらに、慢性的に栄養素の欠乏状態が続くと、欠乏した栄養素への依存症が強調されるようになります。
即ち、不足した栄養素をかなりの量服用しなければ、欠乏症が克服されることはありません。
例えば、ナイアシン(ビタミンB3 )の欠乏症であるペラグラ(Pellagra:皮膚、消化器、神経などの疾患)
の治療には、毎日 1,000 mg のナイアシンの服用が必要です。
少量のナイアシンの服用では、ペラグラの症状が改善されることはありません。
ただし、表1に示す通り、ビタミン・ミネラルには、様々な理由から耐容上限量が設定されているものもあり、
分子整合栄養医学の最適健康必要量には、この値を超えたものもあります。
ビタミン・ミネラルの耐容上限量を超えた摂取は、専門医の指導が必要ですので、ご注意下さい。