ビタミンC(アスコルビン酸:Ascorbic Acid)の概要
原始時代から、魚類と両生類は腎臓でビタミンC を製造して来ました。
また、初期の鳥類は、ビタミンC の製造に腎臓を使用しましたが、その後、腎臓と肝臓を使用し、最終的に肝臓で製造するようになりました。
人間を含め殆どの哺乳動物も、かつては肝臓でビタミンC を製造していました。
ビタミンC (化学式:C6H8O6)の構造は、ブドウ糖(化学式:C6H12O6)
の構造と似ており、動物は、補酵素であるグロノラクトンオキシダーゼ(Gulonolactone Oxidase)を使用して、
ブドウ糖からビタミンC を製造します。
しかし、人間をはじめ何種類かの哺乳動物は、25万年ほど前にこの補酵素を失ったためビタミンC を製造する能力を失いました。
このため、その後の歴史において、人間は、ビタミンC の欠乏症による病気や死に対して、多くの対価を支払ってきました。
ビタミンC はナイアシンと共に生命の維持には不可欠な栄養素なのです。
ビタミンC(アスコルビン酸)の効果
ビタミンC(アスコルビン酸)は、副腎(adrenal gland)に多く存在し、
副腎髄質(adrenal medulla)で
ノル・アドレナリン
やアドレナリンを製造したり、副腎皮質(adrenal cortex)で
アストロゲン、エストロゲン、プロゲステロンあるいはコルチコイドという
ステロイドホルモン(steroid hormones)を製造する時に使用されます。
このため、ビタミンC が欠乏すると、腎臓でこれらのホルモンが製造できなくなり、体に重大な影響を及ぼします。
白血球(Leukocytes)は、体の中の傷ついた組織を見つけ、その場所へビタミンC(アスコルビン酸)を選択的に運びます。
また、白血球自体もグロブリン(Globulins:アミノ酸からなる単純タンパク質で、体内の物質輸送や免疫に関与します)の製造や、
食菌作用(Phagocytosis:体内に侵入したバクテリアやその他の進入した異物を捕食し病気を防ぐ作用)のためにビタミンC(アスコルビン酸)を必要とします。
このため、ビタミンC が不足すると、このような機能を維持することができず、壊血病(Scurvy:体内の各器官で出血性の障害が発生する)を引き起こします。
ビタミンC(アスコルビン酸)には、組織に溜まったヒスタミン(Histamine)を破壊する働きがありますが、
ビタミンC の欠乏によりこの機能が働かないため、壊血病の患者の組織にはヒスタミンが蓄積してしまうのです。
壊血病に陥った患者は、例えば、毎日 7,000 mg のビタミンCを投与して治療することになります。
また、ビタミンC は、コラーゲンの生成にも関わり、日焼けの後のメラニンの増加の予防になるなど、美容効果と関連深いビタミンです。
眼球の水晶体がほどよく流動し、透明性を維持するためにも多量のビタミンC が消費されます。
そして、白内障になると、多量のビタミンC を消費しますので、ビタミンC が欠乏しがちになります。
逆に、ビタミンC を多量に摂取すれば、白内障を治療したり予防する効果があります。
さらに、年齢と共にその濃度は減少しますが、脳にもビタミンC(アスコルビン酸)は多量に分布します。
しかし、酸化されたアミノ酸からの生成物により、脳のニューロンが破壊されるのを守るため、血液脳関門(Blood-Brain Barrier: BBB)があります。
このため、血液と脳との間の物質交換を制限してしまいますので、摂取したビタミンC の中で、脳に届くのは 1% 未満です。
ビタミンC は、上記の他にも体の中で非常に多くの反応に関与し、様々な効果を発揮しています。
熱傷、刺傷、じん麻疹および様々なアレルギーなどは、血液中のヒスタミン(Histamine)濃度を高めますが、
このような場合にはビタミンC を大量に摂取する必要があります。
その他、コレステロールを溶かしたり、動脈の中のカルシウムプラークからカルシウムを引っ張り出したり、
体の中の有害な鉛、水銀あるいはカドミウムなどの重金属を解毒したり、という重要な機能を持っています。
早産(premature)の胎盤剥離(separation of the placenta)の大多数のケースでビタミンC(アスコルビン酸)
のレベルがかなり低かったという報告もあります。
ビタミンC を多く含む食品
ビタミンC を多く含む主な食品は、以下の通りです。
ここで、表示した重量(mg)は、食材 100 g 当たりのビタミンC の含有量です
(
食品成分表:分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[3])。
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野菜類 ・・・ 赤ピーマン(170 mg)、めキャベツ(生:160 mg、ゆで:110 mg)、黄ピーマン(150 mg)、パセリ(120 mg)、青ピーマン(76 mg)、ブロッコリー(生:120 mg、ゆで:54 mg)。
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果実類 ・・・ アセロラ(1700 mg)、グァバ(220 mg)、ゆず(150 mg)、レモン(100 mg)、柿(70 mg)、キウイフルーツ(69 mg)、イチゴ(62 mg)、パパイア(50 mg)。
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いも類 ・・・ ジャガイモ(生:35 mg、蒸し:15 mg)、さつまいも(生:29 mg、蒸し:20 mg)。
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肉類・魚類 ・・・ ロースハム(50 mg)、ベーコン(35 mg)、たらこ(33 mg)、豚レバー(20 mg)、鳥レバー(20 mg)。
サプリメントは必要か?に記述した通り、
政府機関が推奨するビタミンC の推奨量は1日当たり 100 mg に対し、分子整合栄養医学が推奨する最適健康必要量は 2,000 mg と20倍の違いがあります。
分子整合栄養医学の最適健康必要量のビタミンC を摂取するためには、食後にサプリメントで補充するのが良いでしょう。
ビタミンC は水溶性ですので、一度に大量のビタミンC を摂取をしても、汗や尿として排出されてしまいます。
このため、時間を空けて数回に分割して摂取するのが良いでしょう。