目の病気を予防する栄養
目の新陳代謝を高め、疲労した末梢神経の機能を高めるビタミンB6 や、
毛様体筋や末梢神経の働きを改善するビタミンB12 は目薬の成分としておなじみです。
このページでは、欠乏すると少し厄介な目の病気に関係する
ビタミンA 、ビタミンC(アスコルビン酸:Ascorbic Acid)、ビタミンE、の役割についてご紹介しましょう。
ビタミンA:眼病、眼球の乾燥症(xerophthalmia:いわゆるドライアイ)の予防
ビタミンA は、にんじんやにらなどの野菜類に多く含まれるカロチン(Carotene)と、魚の油に多く含まれるレチノール(Retinol)があり、
健康な粘液膜や強い免疫システムを作り、癌の予防にも貢献します。
レチノールという名称が網膜 (Retina) に由来するように、ビタミンA は、網膜細胞の保護に大きく関係しています。
このため、ビタミンA が不足すると、眼病変(Eye Lesions)、夜盲症(Night Blindness)、眼球乾燥症(Xerophthalmia)、
あるいは角膜軟化症(Keratomalacia)等に陥る可能性があります。
角膜軟化症は、角膜が乾燥・変性し、ひどくなると角膜に穴が明き失明に至ることもあります。
ビタミンC(アスコルビン酸:Ascorbic Acid):白内障の予防
ビタミンC は、体の中で非常に多くの反応に関与しますので、目だけではなく体全体に影響を及ぼす重要な栄養素です。
例えば、ヒスタミンを破壊したり、コレステロールを溶かしたり、動脈の中のカルシウムプラークからカルシウムを引っ張り出したり、
体の中の有害な鉛、水銀あるいはカドミウムなどの重金属を解毒したり、という重要な機能を持っています。
ビタミンE:網膜障害の予防
サプリメントは必要か?
で述べたとおり、ビタミンE も、心血管疾患、冠動脈性心疾患、アルツハイマー、癌、あるいは糖尿病の予防に効果的とされていますが、
天然の食材から必要量を摂取するのは難しく、サプリメントに頼らざるを得ません。
糖尿病は、膵臓(すいぞう)からのインスリン(insulin)の分泌が不足することで起こりますので、一般的な治療法として、
インスリンを注射して血糖コントロールを行ないます。
しかし、インスリンを注射に併用して、ビタミンE を摂取することにより、
糖尿病の治療が促進されるばかりではなく、副作用として発生する可能性のある、
網膜障害(Retinopathy)や腎障害(Nephropathy)のリスクを低減することができます、
これは、ビタミンE には、血管を拡張し、
血液の側副循環(collateral circulation:普段あまり流れていない動脈や静脈の血流)を促進するという効果があることによります。
また、早産の未熟児は、温度,湿度、酸素濃度がコントロールされた保育器に入れられますが
未熟児が過剰な酸素にさらされると、後水晶体線維形成(retrolental fibroplasia:一種の網膜障害)を引き起こし、その結果、
盲目になるケースが過去には発生していました。
Dr. H. M. Hittner らは、保育器に入った未熟児に体重1 kg あたり 100 mg のビタミンE を投与することにより、
網膜障害が防止できることを報告しました。
このビタミンE の量は、大人に換算すると約 7000 IU に相当しますが、有害な副作用はまったく確認されていないとのことです
(
分子整合医学(Orthomolecular Medicine)関連[1] ))。