肌のターンオーバー
代謝による肌の生まれ変わりを肌のターンオーバー(Turnover)と呼びます。
皮膚の構造と機能に示した通り、
皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層に分けられ、さらに表皮は、
内側から基底層、
有棘層
、顆粒層、角質層の4層構造になっています。
そして、基底層で新しい細胞が生まれる度に、各層の細胞は少しずつ形を変えながら外層へと押し上げられ、
最外層の角質層の表面の細胞は、垢となって自然に剥がれ落ちるのです。
これが、肌のターンオーバーです。
角質層の表面は常に新しい層に入れ替わっているため、皮膚に外傷を負ったとしても、
真皮まで届かない表皮のみの傷であれば、時間が経過すれば、傷痕が残ることなく元のきれいな肌に再生されます。
紫外線でメラニン色素が出来てしまった場合も同様で、表皮の一番下の基底層までであれば、ターンオーバーにより肌の色も元に戻ります。
しかし、真皮にまでメラニン色素が及んでしまうと、肌の色は戻らず、シミとなって残ることになります。
部位により肌のターンオーバーの速度は異なる
肌のターンオーバーの速度は、体の部位によって異なりますが、基底層から角質層となって剥がれ落ちるまで、概ね 24日~62日程度です。
内訳は、基底層から顆粒層まで 14日~42日程度、そして角質層となって剥がれ落ちるまで10日~20日程度です。
比較的血行の良い顔の頬部などのターンオーバー速度は速いですが、血流の悪い足先などのターンオーバー速度は遅くなります。
代謝により肌のターンオーバーの速度は異なる
肌のターンオーバー速度は、加齢と共に遅くなると言われますが、実際には個人差がかなりあります。
頻繁に運動を行い、代謝が活発な方は、年配の方でもターンオーバー速度が早く、
代謝が低下している方は若くてもターンオーバー速度が遅い傾向にあります。
腕に軽い外傷を負った場合、ターンオーバー速度が早い方なら、1週間前後で完治しますが、
ターンオーバー速度が遅い方は、完治まで3週間以上かかる場合もあります。
正常なターンオーバー速度を保つ
栄養の偏った食事、不規則な睡眠時間、あるいはストレスの多い生活などにより、毛細血管の血流が悪くなり、肌のターンオーバー速度が遅くなる傾向にあります。
肌のターンオーバー速度が遅くなると、角質の交替が遅れますので、肌がくすみ、滑らかさを失います。
美容クリニックなどで適度なピーリングを定期的に行なうことも効果的ですが、
基本的には、栄養バランスの取れた食事、規則正しい十分な睡眠、運動や瞑想などによるストレスの低減により、
肌のターンオーバー速度は正常化するでしょう。
とにかく美肌を手に入れたいのであれば、ターンオーバー速度を正常に保ち、
紫外線をしっかり反射でき、十分保湿できる角質層と顆粒層を作り上げることが大切です。
洗浄力の洗浄剤で肌を頻繁にに洗いすぎたり、角質ケアに励みすぎると、角質が早く除去され、
核を持った不完全な角質層が表面に押し上げられることになります。
皮膚の構造と機能に示した通り、
一人前の角質細胞になるためには、各層における細胞の変化が重要です。
特に、顆粒層でケラトヒアリン顆粒を持つことにより、本来、肌のもつ多くの機能が得られますので、
このプロセスをスキップして角質層に押し上げられれば、
紫外線を跳ね返す機能が不足し、保湿もできない角質層になってしまいます。
万一、このような事態に陥った場合は、ワセリンやクリームで保湿と保護をして下さい。
肌の洗い過ぎや過剰な角質ケアは行わないよう注意しましょう。